幸せに満ちたエチオピアンイースターからたった3日後の4月15日。
南アフリカに移民していたエチオピア人2名が、移民の排斥を目的とした暴動により殺害されたという悲しいニュースがエチオピアを駆け巡りました。
そして、そのたった4日後の19日、今度はなんと在リビアのエチオピア人約30名が、IS(イスラム国)を名乗る過激派組織により殺害されたというニュースが。
「イスラム国」の戦闘員と見られる人物が海岸で、人々の頭部を切り落としたり、頭部を銃撃したりして殺害する残虐な映像がネット上で公開され、人々を恐怖と悲しみと怒りのどん底へ突き落としたのです。
エチオピア政府は、3日間に渡り、国をあげて服喪期間に入ることを表明しましたが、国民はあまりの出来事に感情的になり、一時的に治安が悪化しました。
写真は、andu ametの工房の徒歩圏内の広場で行われた集会です。
もともと、ISの被害者を悼むために政府により開催されたものでしたが、政府の南アやリビアへの対応に満足しない国民が、スピーチをする役人に投石を行ったことが引き金となり 1000人以上の逮捕者が出るほどの暴動になりました。
多くの信憑性の低い情報がSNS上で飛び交い、 意見の異なる者たちが罵り合い、炎上する様子もみられ 311の直後の日本を思い出しました。
交通機関も一時的にストップしたため、タイトな製造スケジュールの中、工房も一日クローズしました。
翌日、スタッフの二人がそれぞれ頭と足をかかえて出社してきたので わけを聞くと、通勤途中に集会の近くを通りかかっただけで警察に警棒で殴打されたとのことでした。
あちこちで無届けの集会が行われ出したため、選挙が近いこともあり、警察もピリピリしているようですが 、何の罪もないうちのスタッフに何故?敵を見誤っているんじゃないの?と怒りを感じずにはいられませんでした。
そんな怒りと悲しみの数日間でしたが、ちょっとだけおもしろいこともありました。
服喪期間中は、テレビやラジオでは、いつものポップスやコメディは自粛となり
終日、人々の心を癒すようなクラシックの音楽が流されていました。
ショパンの別れの曲やベートーベンの月光などに混じり、ふと聞き覚えのあるメロディが。
なんと「氷雨」や「津軽海峡冬景色」といった日本の演歌が流されていたのです。
実はエチオピアでは日本の演歌のカラオケ(歌のない演奏のみのもの)が
「ジャパニーズクラシック」とよばれ、親しまれているのです。
スタッフのひとりが気付いて
「あ、これジャパニーズクラシックだね。今の僕たちの心を癒してくれる、いいメロディだ」
と言ってくれたのですが
まさか「これは、本当は男の人と別れた女の未練がましい恨み節なんだよ」とはいえず、
「それならよかった」と中途半端な笑みを浮かべた私でした。
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