7月10日(木)に、政策研究大学院大学で開催された「世銀総裁と語る:開発にイノベーションが果たせる役割とは」というトークイベントにて、世界銀行グループ総裁ジム・ヨン・キム氏とお話をさせていただくという貴重な機会をいただきました。
イベントは、私の他に、税所篤快氏(e-project代表)、遠藤謙氏(ソニーコンピューターサイエンス研究所アソシエートリサーチャー)、福野泰介氏(株式会社jig.jp代表取締役社長)、濱川知宏氏(コペルニク プロジェクトマネジャー)という若手起業家が登壇しました。
冒頭で私が、バッグを見せながら、andu ametについてご紹介させていただくと、キム総裁より「これは確かにとてもすてきなバッグですね、私も持ちたいです」と嬉しい感想が。そこにすかさずモデレーターの道傳さんが「欲しかったらたとえ総裁でも1年半待たないといけませんよ」といって会場の笑いを誘いました。
その後、議論はイノベーションとはどういうものであるか、どうやってそのイノベーションをスケールアウトしていくかというテーマへ。アジア、アフリカ、欧米、南米と、世界中で活躍される皆様のお話しに圧倒されっぱなしの私でしたが、そんなダイナミックに広がった話の中に二つの共通のキーワードを見つけました。
それは、「継続」と「謙虚さ」です。
キム総裁は、ディスカッション中、
イノベーションはある日突然降って沸いてくる偉大なアイディアのことではない。そのアイディアを手を使って形すること。そしてそれを継続することで、イノベーションになる。
現地の中にきちんと入り、謙虚に耳をかたむけることことが重要
といった趣旨のことを繰り返しおっしゃっていました。世銀総裁として、世界各国で様々な成功・失敗の事例をご覧になってきたからこそのご意見なのだと思います。
登壇されていた他の皆様も、事業モデルはバラバラながら、現場に入り、PDCAを回しながら事業を粘り強く継続させている点で共通していました。
そういえば以前、途上国開発のためのICTを研究している友人がブログ「ICT for Development.jp」にて、
イノベーションとは単なる良いアイディアではなく、一歩踏み出し、そして続ける根性と気合いである
という文脈で、Mpesaというケニアの企業とともにandu ametを紹介してくれたことがありましたが、これも重なるものがあります。
ものを作って売るというのは、ある意味もっとも伝統的なビジネスモデルだけど、そんな中でも、現地の中に今以上にしっかり入り、謙虚に耳をすませながら、挑戦し続けることで、これまで誰にも成し遂げなかったことができる。それこそが本当のイノベーションなんだ。
今、日本はもちろん世界を見渡しても、フェアトレードなどの社会貢献性と、ラグジュアリー性の二つを兼ね備えたブランドはほとんどなくて、andu ametはそれを実現しようとしている。謙虚に継続することでしかそれは実現できないなら、そうするまで。絶対諦めず、どこまでもしつこく続けよう!
なんとなく頭の中にもあった、でもどこかもやもやともしていた「イノベーション」という言葉の本当の意味や自分の使命が、このイベントで皆様のお話を聞きながら言語化され、改めて内側から勇気が湧いてくるのを感じました。
尚、当日の様子は7月25日(金)の NHK Worldで放映予定だそうですので、海外にいらっしゃる方はぜひチェックしてみてください。
(写真は全て世銀のflickerより拝借いたしました。)
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