アドワの戦いとタイトゥ皇女のお話

アフリカの大部分が、欧州列強により植民地化されていた19世紀末。エチオピアにも、イタリアの大軍が侵攻していました。

西洋式の銃器や大砲を持ったイタリア軍と、槍や弓など旧装備に裸足のエチオピア軍。
当初は当然イタリアが勝利するものとみられていましたが、エチオピア戦士たちの勇敢さ(←エチオピア人曰く)に加え、高地であるエチオピアの複雑な地形などが味方し、
今から118年前の今日、1896年の3月1日、なんとエチオピア軍が勝利しました。

こうしてエチオピアは、欧州列強の植民地主義の時代に、(アメリカの黒人奴隷が入植して建国されたリベリアを除き)アフリカで唯一の独立を守り抜くことができたのです。

そんな、アドワの戦いの様子を歌ったのが、エチオピアの人気歌手、テディアフロによる楽曲「Tikur Sew」。PVはまるで映画のようで、エチオピアのポップソングとしては異色の力作と言えそうです。


このPVの中盤(5’50”)、槍を振り上げ、敵を威嚇する女性のシーンがありますが、実はこれは、時のエチオピア皇女タイトゥ。

強く、誇り高い女性として有名で、夫である皇帝メネリク2世が病で倒れ、戦いを続けられなくなり、降参するしかなくなったというときに、自ら武器を手に前線に赴いて敵部隊を討ち、その結果下がっていた戦士たちの士気が再び高揚し、戦を勝利へ導いたと言われています。

そんな、なんとも勇ましい彼女ですが、「お肌にいいから温泉が出るところに住みたい」という女子らしい(?)理由で、遷都しちゃうというお茶目な一面もあったりします。(今工房があるアディスアベバはその遷都によりつくられた街です。)

人類発祥の地であり、現存する世界最古の独立国の一つと言われるエチオピア。
歴史を紐解くと、本当に興味深いエピソードがいろいろと出てきます。