先日のブログでもお伝えした通り、本日9月1日(金)より、ANA国際線<ファーストクラス・ビジネスクラス限定>機内にandu ametのバッグが登場します。
アフリカの小さな工房で作られた製品が、世界トップの航空会社で、しかも日頃から一流品に囲まれているお客様を対象に販売していただる…とても嬉しく誇らしい出来事です。
出来上がったカタログの誌面を眺めながら、私は15年前、ボランティアとして初めてエチオピアを訪れた時のこと、そしてこのブランドを立ち上げようと思った時のことを思い返していました。
それまで訪れたどんな国とも異なった、現地の人々の生活。
下位層の人々が決して上がることのできない、社会構造。
そんな中でも情熱を持って働く職人たち。
原料として安価で輸出されていた、極上のレザー。
それは、厳しい現実と大きな可能性が交錯する世界でした。
自分が唯一持っていた「デザイン」のスキルと、エチオピアに秘められた可能性をなんとかつなぎ合わせて、手に取る全ての人が幸せになるような、まったく新しいブランドを作ろう。価格を追求しすぎるあまり、社会や環境を省みることなく作られた大量生産・消費の品でも、フェアトレードのコンセプトで作られ、お情けで買ってもらうも、結局使わずに捨てられてしまうような低品質なものでもなく、世界中のファッショニスタから憧れられるような、本当に美しく高品質なものを、アフリカで作り、世界中に発信しよう。そう覚悟して再びエチオピアへ渡り、現地の職人たちと一丸となってコツコツと続けてきた事業でしたが、ほんの少しだけ自分の夢に 近づけたような気がして、気が引き締まる思いでおります。
これも、ひとえにお客様やファンの皆様のおかげです。特に2014年から15年にかけての1年間は、現地で大きな問題が発生し、一からたった一人で現地に法人を作り直さざるをえなくなったため、莫大な借金を背負うことになった(エチオピアでは外国人が法人設立するのにはなんと20万ドル必要なのです)とともに、生産が大幅に遅れ、多くのお客様に多大なご迷惑をおかけすることになりました。それでも待ってくださったお客様がいてくださったおかげで、志を変えることなく、コツコツと続けてこれたのは間違いありません。あの時頂いた暖かい応援の言葉も、厳しくも正しいご指摘も…今でも折りに触れては当時のやり取りを思い出し、そのすべてに心から感謝しています。
ただこの機内販売も、ゴールではなくあくまでもスタート。弊社の倉庫で行われた全数検品の席で、ANAの方も「メイドインアフリカのファッション製品を扱うのは、初めて。これは弊社にとっても大きな挑戦なんです」とおっしゃっていました。ここでandu ametの製品が売れれば、今後、機内はもちろんその他の一流の売り場にandu amet製品やその他のアフリカ製品やエシカルな製品が登場することになるかもしれません。逆に売れなければ、その道をしばらく閉ざしてしまうことになるかもしれません。正直、不安が全くないといえば嘘になります。
それでも私は信じています。触れた瞬間誰もが笑顔になるような、エチオピアシープスキンの上質感、デザインのユニークさ、エチオピアの広大な自然や文化にインスピレーションを得た鮮やかなカラーリング、職人たちの技の数々、そしてバッグを包み込む幸せのオーラ…自分たちがその価値を信じ、コツコツと積み上げてきたものたちが、きっと新しいお客様にも伝わることを。