4月も半ばを過ぎ、慌ただしかった新生活にも少し落ち着きが訪れるころですね。
桜も吹雪けば、あっという間に光り輝くような新緑の季節。
都会に住んでいると、季節の移ろいを感じるのは、街路樹や公園、どこからともなく漂ってくる花や緑の香りや、ふと思い出し見上げた時の空の高さや色合いから。そして、そんな季節の風を感じた時は、自然と深呼吸をしてしまいます。
古くから日本では、衣食住、生活のすべてに自然を取り込んできました。春には桜を鑑賞し、夏は木や紙でできた障子を開け放し、庭に水をまいて、秋には紅葉や萩、桔梗柄の着物に着替え、冬は皆で暖かい鍋をつつき合う。季節の移ろいに合わせて、着物の柄も食べ物も、住まいの形をも変え、自然の美を全身で楽しむ…。
日本人の思想や美的感覚が、この四季や日本独自の風景に大きく影響をされているというのは、外国人や海外在住の日本人の友人たちからよく聞く言葉です。私自身は普段着物を着たり、障子のある家に住んだりもしていないのですが、もしかしたらそんな風に生きてきた先祖たちの記憶が遺伝子の中に残っているのかもしれない、と思うことはあります。
エチオピアも、どこまでも赤い大地が続く乾季、それが一斉にグリーンに変わる雨季、あたり一面黄金色に染まる収穫期、そして今の季節、ハイビスカスやジャカランダなどの花々が咲き乱れる小雨季…と、日本の四季とは異なりますが、季節ごとに色が移りゆきます。
そんな美しいエチオピアの景色を、日本人デザイナーである私の視点を通じてバッグの形に再現したのがandu ametの製品たちです。
「Mother Earth」「Green Field」「Bloom」…それぞれの製品につけられた色名を読み、深呼吸をしながら、その元となった美しい景色を、ぜひ想像してみてください。
もしちょっぴりでも幸せな気持ちになっていただけたら、デザイナーとしてこれほど嬉しいことはありません。