インターン体験記
表参道から、いつかはエチオピアのアトリエへ
このコラムでは、インターン生のErikoがandu ametでの出会いや気づき、葛藤などリアルな想いを綴ったエッセイをご紹介します!
現在大学4年生の私がandu ametでのインターンを始めたのは、大学2年の夏。小学校の頃に父の転勤で南アフリカ共和国に住んだ経験があったことから、入学前より「アフリカに関わる」「国際協力」に興味を持ち、インターンやボランティア先を探していたところ見つけたのがandu ametでした。初めてandu ametについて知った時、鮫島さんの哲学やブランドとしての理念にすごく共感したことを、今でもよく覚えています。
あれから早くも2年が経ち、現在いる学生の中でインターン歴最長となりました。
インターンの仲間たちと
1.葛藤の先に辿り着いた、新しい視点 〜「andu amet」に対する考えの変化〜
インターンをしている中で最も印象に残っていることの一つは、andu ametというブランドに対する考えの変化です。入ったばかりの頃に私が持っていた、「エチオピアに自社工房を持ち、現地で生まれた革を使ってエチオピア人の職人がバッグを作っている」という見方は、2年間で次第に変わっていきました。
きっかけの一つとなったのは、1年ほど前、新しいニュースレター企画を考えるミーティングをしていた時。私はエチオピアとの繋がりを前面に出す企画を提案しましたが、それだけではお客様の興味を引くには足りないだろうというフィードバックを受けたのです。この時、私は正直少し悲しい、違和感のような、言葉にするのは難しい複雑な気持ちになりました。「andu ametの最大の特徴はエチオピアとの繋がりのはずなのに、それを前面に押し出しすぎないほうがいいとは、なぜだ...!」と思ったのです。しかし、インターンを続ける中で「エチオピア産のフェアトレード製品」と言うだけではandu ametの魅力を正しく伝えきることができないことに気づきました。
表参道の店舗に来るお客様は、国際協力に関心のある方も少なくありませんが、その方達の関心はそれだけではありません。仕事に使えるバッグが欲しい、自分のライフスタイルや悩みにあっているものをみつけたい、より似合うもの、素敵なものが欲しい…といった様々なご希望をお持ちなのです。それに応えるためには、商品自体のデザインや機能性の魅力をきちんと伝え、理解してもらうことも重要なのだと感じるようになりました。また、この考えの変化の裏には、自分自身の行動に対する気づきもありました。私自身、「生産者の支援に繋がります」「彼らを救うためにこの製品を買ってください」といった商品やサイトを見て、どんなに「素敵なことをしているし、商品も可愛い!」などと思ったとしても、サイズなどの詳細情報が不明だったり、使用シーンが思い浮かばなかったりとちょっとしたことが気になると、実際に購入等に至らないことに気付いたのです。
貧困解決や産業育成、サステナビリティ等に取り組む企業や団体は知れば知るだけあり、きっと今も増え続けている。もし私が億万長者でお金が有り余っていたなら、いくらでもそういったところの商品を買っていたかもしれません。あるいは、時間が無限にあったなら、それらの企業や団体一つ一つと深く関わることもしたかもしれません。でも実際は、欲しいと思ったものを全て買えるほどの余裕はないですし、物を極力増やしたくない私の場合、「買う」といったアクションを起こす機会は限られている。この、ある意味残酷な現実に気づいてしまったのです。同時に、同じような人はきっとたくさんいるんだろうな、とも思いました。
このような視点の変化から、今andu ametの特徴は何かと聞かれたら、「エチオピアの自社工房で職人が製品を作っている(フェアトレード製品)」という点に加え、それらの製品は「ふわふわ柔らかくて、持っているだけで癒される」、「軽くて、荷物が重くなるのがお悩みの方におすすめ」、「アフリカの大自然の美しさや日本の伝統工芸を取り入れたユニークなデザインが魅力的」…と答えます。エチオピアとの繋がり以外で、商品自体の魅力を実感してもらうことも重要だという新しい視点に辿り着いたのも、andu amet創業前から今に至るまで、様々なご経験をされてきた鮫島さんの近くで働くことができたことも大きいと思っています。
2.貴重な出会い、気づき、そして喜び
2年間のインターンの中で最も心に残っているもの。それは何といっても、店舗にいらっしゃるお客様との出会いです。andu ametのインターンでは、お客様一人一人と深く知り合えることが特徴です。接客が不安だった最初の頃とは違い、今ではお客様にandu ametの魅力を伝える責任に楽しさも感じています。自分の接客でお客様が商品に興味を持ち、購入していただけた時は特に嬉しいです。
また、日常生活ではお会いできないような、すごくinspiringな方との出会いもたくさんありました。国内外でエシカル分野を先導されている方々、アフリカで起業され日々奔走している方々、映画監督の方、JICA協力隊経験者・・・。毎週、多種多様なご経験、色々な生き方をされている方々とお会いするたび、「こんな人生もあるのか...!」と視野が広がり、本当に勉強になっています。
昨年10月に開催されたコンセプトストア5周年記念イベントでは、在日エチオピア大使や外交官の方、2019年にエチオピア首相がノーベル平和賞を受賞した際の式典でも演奏した有名なマシンコ(エチオピアの単弦楽器)奏者のHaddinqoさんともお会いし、一生の思い出となりました。
また、場所柄、おしゃれなフランス人やカタール人などのお客様がフラッと入ってこられることもあります。彼らがバッグを手にするたびに、いつも本当にお似合いで目を奪われています。andu ametのバッグは日本だけでなく、ヨーロッパや中東、その他世界中で人気になるポテンシャルのある、素敵で本当に良いバッグだと私は確信しています!
2023年10月のコンセプトストア5周年イベント(左)
Haddinqoさんに直々にエチオピアの楽器マシンコを教えていただいている様子(右)。
3.「andu ametインターン」で得たもの 〜2年間の感謝を込めて〜
ほかにも、小さな会社だからこそ見えた会社全体の動きも、非常に興味深かったです。エチオピアのアトリエで作られてから、はるばる日本に運ばれ、お店での諸準備を経て、店頭やECサイトに並べられ、お客様に届けられるまでの一連の流れ。この工程に自分の手で関わる中で、全てのプロセスの繋がりを感じ、一つ一つの意義や大切さを学びました。ECチームの一員としてECサイトの分析・改善策を考える中で、店舗での経験が活きること、またその逆も多々ありました。
その行き来の中で得た気づきのなかで特に大事にしているのが、当たり前ではありますが、お客様の立場に立つこと。andu ametの有り余る魅力を全部伝えたい時こそ、一歩立ち止まって、お客様が今ここで知りたい情報は何か?どういうことを求めているか?を考えるようにしています。これは、店舗出勤時も、ECサイトの分析をしている時もです。今もまだまだではありますが、私たちの立場として伝えたいことと、お客様の立場で知りたいことを分けて考える視点を得たことは大きかったと思っています。
2024年現在一緒にインターンしている仲間や、鮫島さんEmiさんと
andu ametに関わってきたこれまでの経験は、私の今後のキャリアを考えていくうえでも、当初の想像の何倍も大きく影響していると最近感じています。この2年間で出会った様々な方々、得た気づきや視点、経験したことすべてが今に繋がっている気がします。
andu ametでのインターン経験を通じて、この国の革製品への愛着と憧れが深まっていた私は、今年3月、トランジットで訪れたエチオピア・アディスアベバ空港で、まっさきにエチオピアのレザーを扱うお店に向かいました。「本場エチオピアで、エチオピアシープスキンに触れる」ーこの夢が達成された今、次の個人的な夢は、エチオピアのアトリエを訪れることです。その日を、今から楽しみにしています。
#anduametintern #anduameteriko