デザイナーのFさんが、被災地へ送るためにレザーと毛皮のえりまきを製作するとお聞きし、私も少しだけお手伝いさせていただきました。
東京は少しずつ春めいてきましたが、東北ではまだまだ厳寒がつづいており、しかもこのえりまきを送る、石巻からさらに奥にはいったところにあるお寺はインフラが断絶し、支援物資もほとんど入ってきていないとのだそうです。
着いてみると、Fさんの心意気に賛同した方々が他にもたくさん来て作業されていました。
レザーを裁断し、毛皮を縫い付けるのですが、実をいうと自分自身は普段製作をしないので、まったくもって上手ではないんです。
邪魔をしてくるふさふさたちをかき分けながらちくちくちく…
Fさんのご友人であり韓国料理の先生をされていらっしゃるMさんが、ご好意でまかない料理を作ってくださっていたのですが、それがとても美味しくて、つまんでは作業に戻り、作業をしながらまたつまみ…気がつけば深夜まで作業が続きました。
出来上がったえりまきはたよりないほど軽くて、でも首にまくとふわふわやさしく、とてもあたたかかった!!
レザーや革のような高級素材を使ったえりまきなんて、支援物資としては不適切という人もいるかもしれません。今はもっと別のものをより多くの人に届けるべきだという意見もあるかもしれません。私もそれを否定はしません。でも同時に、この美しいえりまきには暖かさ以上の力があると思う、とも思います。
私はずっとコスメやジュエリー、ファッションに携わる仕事をしてきました。そしてそれらを身にまとった方が前向きになったり、笑顔になったりする場面をたくさん目にしてきました。ファッションには理屈では説明できない、魔法みたいな力があると知っています。このえりまきにも秘められているその魔法の力が被災地の方々に届きますように…
作業をしながらそんなことを考えていました。
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