こんにちは。エチオピアよりデザイナーの鮫島弘子です。こちらはすっかり雨季に入り、カラカラだった大地に美しい緑が広がっています。
本日7月3日、日本では20年ぶりにお札が新しくなりましたね。これを読んでいる方の中には、すでにピカピカの新札を手にされた方もいらっしゃるかもしれません。
新しいお札の顔は、日本の資本主義の基盤を築いた渋沢栄一、日本の女性教育の先駆者津田梅子、日本の病原菌学のパイオニア北里柴三郎。 いずれもイノベーションをもたらし、フェアでサステナブルな社会の構築に貢献した人たちと言えるでしょう。
とくに渋沢栄一は高祖父にあたることもあり、その教えについては物心ついたころより祖母から聞かされて育ち、andu ametの創業にあたっても「論語と算盤」に大きな影響を受けたので、ひときわ感慨深く感じています。
上段右から祖母、二人の曽祖母、下段妹、私
祖母は、渋沢栄一に関する著作やインタビューも多く残した
そんな教えをくれた祖母も昨年ちょうど100歳でこの世を去りました。 コロナだったため、誰にも直接会うことができないまま病院で亡くなったのですが、死後に枕元から残された家族への最期のメッセージが見つかりました。
そこには皆への感謝と共に、<人間自分一人が倖せになっても決して楽しいものではない。皆が倖せと感じる世の中であってこそ>という教えが栄一の母から栄一へ受け継がれたことや、行きすぎた資本主義による不平等や対立への懸念などが、数ページに渡りしたためられていました。 日頃は達筆だった祖母の震える筆跡から、辛い病床で本当に伝えたかったことを必死で書き記してくれたことが伺えました。
渋沢栄一や津田梅子、北里柴三郎が生きていたのは、幕末から明治という激動の時代でしたが、私たちもまたAIやテクノロジーの急激な発展による大きな変革期に生きています。そして先人たちと同じように、(たとえ立場やバックグラウンドによって、その方向性や影響力は違ったとしても)よりよい未来を生み出していく使命や力を一人一人がもっています。私自身も、誰もが幸せを感じる社会を目指して、これからも模索し続けていくつもりです。
新しいお札の登場は私たちに、そんな新たな時代を作ってゆく勇気とインスピレーションを与えてくれる気がしています。
新しいお札の登場は私たちに、そんな新たな時代を作ってゆく勇気とインスピレーションを与えてくれる気がしています。