
「動物の命を奪うから、レザーはサステナブルじゃないのでは?」
そんな声を聞くことがあります。でも、ほんとうにそうでしょうか?
ちょっと想像してみてください。あなたはこの1週間で何回お肉を食べましたか?そしてその間にその皮や毛や角を使った製品を、何度買ったでしょうか?
本革は食肉の副産物
牛や羊の革は、肉を取る過程で必ず出る「副産物」。市場に出回る皮革の多くが、実はこの副産物からできています。少なくともandu ametのレザーは100%食肉の副産物です。
それが使われなければ、大量に廃棄されることになります。
エチオピアでも、かつて3割もの原皮が捨てられていました(Reserchgate) 。これは貴重な資源の損失であると同時に、廃棄に伴う環境汚染も引き起こします。
そもそも現代人は肉を食べ過ぎなので、それを減らしていく努力は必要だと思いますが、命をいただくなら、肉だけでなく、皮も毛も角も、すべて大切に使い切る——それこそが本来の“エシカル”であり、サステナブルな選択だと私たちは考えています。

合皮やヴィーガンレザーの環境負荷
「動物を使わない=サステナブル」と思われがちですが、合皮の多くは石油由来の素材(PUやPVC)で作られています。合成皮革は天然皮革に比べて耐久性が低く、結果的に廃棄が増える傾向が指摘されています。また、石油由来のプラスチックは分解に長い時間がかかり、マイクロプラスチック汚染の原因にもなり得ます。

ソレ、実は本物のエコレザーじゃないかも?
最近よく目にする「ヴィーガンレザー」「アップサイクルレザー」「エコレザー」といった言葉。合皮のバッグやジャケットに、それらしき説明が添えられていることもありますが、実は多くが定義的には“NG”です。
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「革・レザー」:動物の皮をなめして繊維構造を保ったもの(JIS規格)
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「エコレザー」:環境負荷を抑えてなめされた天然皮革(一般社団法人日本皮革産業連合会)
つまり、「エコレザー」や「レザー」という言葉は、本来“本革”にしか使えません。リンゴ、キノコ、パイナップルなどの植物由来素材や、革の破片を固めて作った素材などは、正式には「○○レザー」とは呼べないのです。
誤解を招く表現は“グリーンウォッシュ”(見せかけのエコ)にもつながるため、国民生活センターや消費者庁も注意喚起を行っていますが、罰則がないことから、今もマーケティング目的での乱用が続いているのが現状です。
「どう感じるか」ではなく、 「事実を知る」から

欧米では一時期、エシカルな選択肢としてヴィーガンレザーが注目されていましたが、近年では再び本革へ回帰する動きも見られます。
エシカルな選択をするためには「どう感じるか」だけではなく、素材の背景やものづくりのプロセスを正しく知ることが大切です。
このコラムがそんなきっかけのひとつになれば、うれしいです。