エチオピア シープスキンにかける想い

エチオピアはアフリカで1番、世界でも10番目くらいにたくさんの家畜を保有している国といわれています。
中でもシープスキン(羊革)は世界最高峰の品質なのだそう。



その理由として、エチオピアが高地であること、北緯15°に位置していること、そしてエチオピアの羊がレザーにもっとも適した品種であることなどがあげられます。

ふれた瞬間思わず「わっ」と声をあげたくなるような柔らかさ、なめらかさ、軽やかさ、ストレッチ力・・・これまでたくさんの革を見てきましたが、こんな革は今まで出会ったことがありません。その素晴らしさはきっと私がここでいくら言葉を尽くしても伝えきれないと思います。

ただ、残念ながら産業の発展が遅れているため最終製品まで作ることができず、原皮の輸出を続けています。エチオピアから輸出された原皮が、例えばイタリアでなめされてイタリア製の革になり、フランスで縫製されてフランス製のバッグになり、そこで驚くほど高い付加価値が付けられるのに、ただの原料産出国であるエチオピアにはたいしてお金が落ちない。技術が育たず失業率も高いまま。国内市場も育たない、という負のスパイラルがおきているのです。なんともったいないことでしょう。

その現状を知った私は、エチオピアでなんとか素材調達だけではなく最終加工まで、全て現地で行うブランドを立ち上げたいと思うようになりました。
生産者は技術と収入が得られ、援助に依存せずに生活ができるようになるし、消費者にとっても、この唯一無二の素晴らしい素材をふんだんに使い、心をこめて作られた製品が手にできるのは最高のはず。
関わるすべての人が幸せになるものづくりを、ここではじめよう。

素晴らしい革で素晴らしい製品を作れば、飢餓や干ばつなど、ネガティブにとらわれがちなエチオピアのカントリーイメージを、ポジティブに変えられるはず。

そんな思いを断ち切れず、それまで働いていた会社を退職し、昨年、単身エチオピアへやってきました。こちらへきてからは毎日革なめし工場や縫製工場をまわりながら、リサーチや調達のために走り回っています。残りの人生の全てをこの夢にかけたいと思っています。



アディスアベバにある工場。国内随一の品質だが、値段も高い。



多くの水源を擁するバハルダールの工場。インド人の技術者が何人も指導にあたっていた。