11月、エチオピアの首都アディスアベバにある美しいギャラリーにて、 andu amet は二つの特別なイベントを開きました。
ひとつは、この15年間で培ってきた知見を現地の人々へ届けるための、JICAと共催のセミナー。
もうひとつは、ブランドにとって長年の夢だった、エチオピア初のポップアップストアです。
初日、ギャラリーに集まってくれたのは、タンナー、職人、レザーブランド、政府関係者、皮革研究機関など、エチオピアの皮革産業を支える多様なステークホルダーたち。
エチオピアのシープスキンは、実は世界最高峰のレザーとも称されています。
しかし、内戦やコロナを経て産業は壊滅的な状況となり、いまも再生の途上にあります。
だからこそ、私はこの日を、エチオピアの皮革産業の熱をもう一度取り戻す“決起の場”にしたいと考えていました。
そこでまずお話ししたのは、「サステナブルなものづくり」と「ストーリーマーケティング」について。
エチオピアでは、壊れたものを直して長く使ったり、困っている人に自然に手を差し伸べたり、必要なものを分け合ったり そんな、世界が求める“サステナブルな価値観”が当たり前に息づいています。
ただ、それらはビジネスに必要な概念としては認識されていません。(日本もほんの数年前まで同じ状況だったと思います。)
そこで 、それらが海外市場でどれほど強い魅力になるのか、どうすればブランドの競争力につなげられるのかなどを、日本のマーケットの事例を紹介しながらお伝えしました。
さらに、産業全体の課題や今後の展望についても議論しました。
政府や国際機関の参加者からは、当社が長年取り組んできた活動への感謝や、エチオピアの皮革産業への支援を強化していく、明らかになった課題に対応する、といったありがたいお言葉を頂戴しました。
質疑応答は時間内に収まらず、ネットワーキングの時間も質問が途切れないほどで、「今日をきっかけに、何かが動き出しそう」ーそんな熱気を感じることができました。
翌日は、エチオピアでの初めてのポップアップストアを開催しました。
これまでは現地の外資規制の影響で、日本でしか販売できませんでしたが、昨年の規制緩和をきっかけに、ようやくエチオピアでも販売が可能になったのです。
会場には、友人や経営者仲間、その友人、偶然立ち寄った方まで、さまざまな方が訪れてくれました。
その場でファンになってくださる方もいて、長く続けてきたものづくりが、着実に形になってきていると感じられる時間でした。 
エチオピアの物価や経済状況を考えると、現地での販売は簡単でないことははじめからわかっています。
それでも今回踏み切ったのは、エチオピアで生まれた製品がどのように評価されているのかを、職人たちに直に見てほしいという思いがあったからです。
また「この国から、エチオピアならではの本当にいいものを一緒に作っていこう(グローバル企業の下請け、孫請けとして安く買い叩かれる大量生産ではなく)」というメッセージを、現地の同業者や一般の方々に届けたいという気持ちもありました。
とはいえ、私たち自身の技術やマーケティング力も、まだまだ発展途上。
今回の皆様のリアクションに励まされつつ、現地の方々と手を取り合い、もっともっと良いものをつくっていきたい、とあらためて感じたのでした。

今後も下記のショップで、andu ametの製品の一部をお取り扱いいただきます。ぜひ現地にいらっしゃる方がいたら、足をお運びください。
